武蔵野コンフィデンシャル

物書き岩戸の日常と身の回りを綴ります。

Sunday, March 19, 2006

サモワール



子供の時から憧れてきたものにサモワールがある。
サモワールはロシアのお茶を入れる道具だけど、
知らない人が結構いて吃驚したりする。
まあ僕が子供の頃って日教組全盛の時代で、
教科書にもロシアものが多かったから しょうがないことなんだろうなあ。
ペチカに憧れたりしたしたもんだもの。
♪ 雪の降る夜は 楽しいペチカ~ ♪ 
小学校の給食にだってボルシチがあったしなあ……。

ロシア民話の『石の花』だってそのころ知ったわけだし、
『12ヶ月物語』なんてほんとに陶然とするほど神秘に満ちて感じられたもんだ。

*12ヶ月物語は森の中で12ヶ月の精と出会う話だ。ある日主人公は森でたき火をしている一団と出会う。そこには一月の精がいたり、2月の精がいたりする。同じような民話は日本にもあるんだけどね。

受験で東京に出てきた時、目黒に宿を取ってたんだけど、
駅の近くにロシア料理の『ロゴスキー』を見つけてよく飯を喰ったもんだった。
そこで生まれて初めてちゃんとしたボルシチを食べ、ロシアンティーを飲んだ。
わりと僕の口には合っていて、美味いものだと思った。

僕は別にロシア自体は好きってわけじゃない。
行ったこともないし行きたいとも思わないんだけど、
何故か魅かれるところがあるし、実際に縁もある。
昔の嫁さんがロシア史の研究者だったりするんだもんなあ。
そんなもんだから正しいボルシチの作り方とかも仕込まれた。
大きく切ったジャガイモ、ニンジンが入っていて、
トマトで味を付けてるのはロシアのボルシチじゃなくてウクライナのやり方だとかね。
ロシアのボルシチはキャベツ、ジャガイモ、ニンジン、ビーツ、肉と全部千切り。
前日に肉の塊とビーツを茹でてスープを作っておく(こうすると頑固なビーツも柔らかくなる)。

できあがったボルシチをつぐ時、お皿にまずビネガーを入れる。
これが酸味のもとで、他のはトマトで酸味をつけているってこと。
ボルシチを注いだら、最後にサワークリームを入れて食べる。
面倒臭そうだけど、わりと簡単。
それに結構美味い……。

あっと、サモワールの話をするつもりだったんだ。
サモワールは水を入れるタンクの真ん中に筒が仕込まれていて、そこに火を付けた炭を入れる。
するとタンクの中の水はお湯になるし、上に載っけたティーポットではお茶が入るという算段だ。
ティーポットの中の紅茶は濃く入るので、タンクのお湯で適宜薄めて飲むんである。
サモワール自体が手あぶりにもなるし、いつでも暖かいお茶が飲めるという
寒いロシアにぴったりの道具なんであるのだな。
よく紅茶の中にジャムを入れてロシアンティーと言っているけど、それもウクライナのやり方で、
ロシアではジャムを舐めながら紅茶を飲むんだと彼女は言っていた。

あと、お砂糖も紅茶に入れないで、直接囓りながら飲むというやり方もあるんだ。
あんまり綺麗じゃないんだけどこうすると砂糖の消費量はぐっと減るし、
砂糖を直接入れないから途中でブラックティーに切り替えるのも自在である。

さて、僕のサモワールはイスタンブールで買った真鍮製のもの。
トルコはロシアと様々な交流があったのでサモワールなんてのも日常道具として使われているのだ。
エジプシャンバザール裏の道具屋街で見つけたのだけれど、
一目で気に入って、日本までだき抱えて帰ってきた(笑)。
通訳のトルコ人は呆れてたけど……。

僕はちょっと変わった物好きなんである。

1 Comments:

At 8:44 PM, Blogger いわと said...

ええ、気に入ってるようですよ(笑)。
そのうちボルシチを作る会でもやりますね。

 

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