武蔵野コンフィデンシャル

物書き岩戸の日常と身の回りを綴ります。

Saturday, April 01, 2006

飴湯と冷やし飴


子供の頃、夏になると毎日のように歩いて6~7分のところにある鏡川で泳いで過ごした。
川の水は冷たくて気持ちよかった。
海のように浮力が付いてしまうことがないから、自分の体のコントロールも自由自在に出来た。
今でも海で泳ぐのは苦手だ。
どんなに太陽の光が強くても、川の水は冷たくて夢中になって泳いだり、
魚を捕ったりして遊んでいると、いつの間にか体が冷えてしまう。

僕たちは水泳パンツのまんまバスタオルを肩から掛けて歩いて家へ帰る。
そんなことが当たり前の時代だったのだ。
家に入ると母が、「唇が紫色じゃねえ。飴湯を飲んで温めなさいや」と言って、
片栗粉を湯にといたものに砂糖を入れて、ドロリとして甘い飲み物を作ってくれる。

本当の飴湯はベッコウ色をしているのだが、家で作る飴湯は白い色をしていた。
味もかなり違っている。本当は本物の飴湯が飲みたかったのだが、
家では作れないものなんだろうなあと子供心に思ったので、
これは飴湯じゃないという文句を言わなかった。

それから夏の楽しみがもう一つ、お祭り時なんかに出る冷やし飴だ。
飴湯をキンキンに冷やして、生姜の絞り汁を入れて飲む飲み物だ。
ほの甘く生姜の良い匂いがする冷やし飴が、僕たちは大好きだった。
当時の僕は子供だったから、土佐独自のものだと思っていたが、
京阪神ではよくある飲み物だった。
京都なんかを夏の日に汗をかきながら、
散歩していると冷やし飴の幟がかかっているのを見かける。

大人になってからずいぶん経ってしまった僕だけど、
今でも冷やし飴の名前を見るとつい暖簾をくぐってしまうのだ。

写真は近所のスーパーで見つけた飴湯と冷やし飴の素である。
成分を見ると麦芽糖・土生姜と書いてあった。

子供の日の懐かしい思い出の飲み物だ。

1 Comments:

At 7:37 AM, Blogger いわと said...

お家へ帰って、母親に指摘されて初めて、体が冷えていることに気づくんですよ。まだクーラーもそんなに使われてない時代の夏なのに、暖かい飴湯が体に心地よくて……。

 

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